2022年12月31日に開催される「RIZIN.40」でRIZIN vs BELLATOR(ベラトール)との全面対抗戦が行われます。
この対抗戦はお互いの団体のチャンピオンや元チャンピオン等、団体の本当のトップ中のトップが集められた対抗戦で、このような大会は格闘技の中でも異例の一大イベントです。
RIZINとベラトールのルールの違い
今回の対抗戦はRIZINでの試合になるので、ルールはRIZINルールで舞台はリングになります。そこで気になるのが「RIZINルールとベラトールのルールは違うの?」という疑問です。この記事ではMMAのルールがよく分からない人のためにRIZINルールとベラトールルールの違いと金網とリングの違いについて簡単に説明していきます。
RIZINルール
RIZINの大まかなルールです
採点方式:トータルマストシステム
トータルマストシステムとは1ラウンド~3ラウンドのトータルでの採点方式になります。つまり格闘技の判定でよく聞く「29対28」や「30対27」というような点数の概念がありません。
その代わりにRIZINでの判定点数は以下のようになります。
- ダメージ50%(フィニッシュに近いダメージやサブミッション)
- アグレッシブネス30%(積極的にフィニッシュしようとする姿勢、手数)
- ジェネラルシップ20%(試合を支配している)
このようなポイントで分かれており3ラウンド通して各ポイントがどちらかの選手に付くか、もしくはどちらにも付けずに0で採点するという方式になります。
各項目の詳細
ダメージ(50%)
例えばAとBの選手が戦ったとして、A選手が打撃で効かせてB選手からダウンも奪いながらの判定になった場合はダメージの50pがA選手に付く可能性が高くなります。
アグレッシブネス(30%)
例えばBの選手の方が効かせるような打撃が殆ど無くても手数ではA選手よりもB選手の方が大きく上回っていればアグレッシブネス30pがB選手に付く可能性が高くなります。
ジェネラルシップ(20%)
こちらは3ラウンドを通してどちらが試合を「支配」していたかで評価されます。例えばA選手がグラウンドの展開でB選手より有利なポジションを長くキープする、打撃の攻防で自分が先手先手を打って相手の動きをコントロールする等でA選手にジェネラルシップが付く可能性が高まります。
ステージ:リング
RIZINとベラトールの違いは採点方式だけではなく、ステージも違います。ベラトールは円形の金網(ケージ)でRIZINは四角形のリングになります。それによってケージには無い要素リング特有の性質が以下の通りになります。
コーナーに追い詰められる
リングの場合、金網ケージと違うのはコーナーがある事です。広さも金網よりも狭く、直角のコーナーがあることで後ろに下がってしまう選手は比較的簡単にコーナーに追い込まれてしまいます。ケージだったらサイドステップで逃げることも難しくないのですが、コーナーは直角のためサイドステップで回り込むのが難しくなります。
上の図のようにリングはコーナーに追い詰められた場合に左右の逃げるスペースが狭くなってしまうという性質があります。
ロープに押し込んだときにクラッチが組みやすい
リングの場合は四方に金網のような明確な壁ではなく細いロープが数本張ってある状態になっています。これによって相手をロープに押し込んだ際に相手の後ろまで手を回してクラッチが組みやすくなっています。
これがケージだと金網に押し込まれても金網と体を密着させておけば相手は手をまわす事が出来ずクラッチが組めなくなります。
なのでテイクダウンをして寝技の展開に持ち込みたい選手にとってはリングのほうが比較的に有利になりやすいと言われています。
グラウンドでの蹴り
RIZINのルールではグラウンド上での頭部への蹴り(サッカーボールキック)、顔面への踏みつけ、グラウンド上での顔面への膝蹴りが認められています。それとグラウンド上で垂直に落とす肘打ちも認められており、これらの攻撃は非常に危険な攻撃なので認められているMMAの団体はおそらく現在はRIZINのみと思われます。
Bellatorのルール
ベラトールの大まかなルールです
採点方式:ラウンドマストシステム
このラウンドマストシステムというのは世界のMMAで最もポピュラーな採点方式になります。
採点基準としては1ラウンド毎に優勢だった方を10、劣勢だった方を9、ニアフィニッシュがあれば8で10-9や10-8で採点をしそれを3ラウンドなら3ラウンド、5ラウンドなら5ラウンドで採点をします。
例
〈1R〉
A:10-9:B
〈2R〉
A:10-9:B
〈3R〉
A:9-10:B
〈4R〉
A:10-9:B
〈5R〉
A:9-10:B
Aの合計点数が48p
Bの合計点数が47p
になるので判定でAの選手の判定勝ちになります。
このような採点方式のルールをユニファイドルールといいます。
このユニファイドルールの特徴としては全ラウンドの半数以上のラウンドでポイントを取ってしまえば、あとは自分から積極的に攻める必要がなくなることです。
例えば5ラウンド制の試合で3ラウンド10-9でポイントを取ってしまえば、よほどの大きな攻撃でダウンをしてしまったり、KO・一本を取られて負けることが無ければ残りの2ラウンドは9-10で相手にポイントを取られても判定で勝ちが確定しているという訳です。
ステージ:金網(ケージ)
ベラトールは円形の金網(ケージ)で試合を行います。こちらも世界のMMAの中では金網での試合が一般的でRIZINのようなリングでの試合の方が世界的には少ない方です。例を出すと、UFC・Bellator・ONEchampionship・PFL等その他の大きな海外の団体が金網ケージを使用しています。それは国内も同じで、日本国内のRIZIN以外の団体でもDEEPやパンクラスや修斗も同じように金網ケージを使用しています。
金網の特徴:サークリングがしやすい
金網ケージの場合はリングではある直角のコーナーがありません。そしてリングよりも広いため試合中に相手の圧力が強くて後ろに下がらされたとしても左右に回りやすいのが特徴です。しかもベラトールのケージは円形なのでより回りやすいと思われます。
もう一つ大きな特徴としては壁際でのレスリングの違いです。相手の選手を金網際に押し付けて際に相手の体と金網が密着しているとクラッチが組みにくいという違いがあります。ですのでストライカーの選手はどちらかというと金網の方がテイクダウンされにくいので金網が戦いやすく、グラップラーの選手はクラッチの組みやすいリングの方が戦いやすいという違いがあります。
RIZINのルールは世界的に特殊
RIZINをメインに見ていたらBellatorのルールやステージに対して馴染みが無いと思いますが、実は世界的にみるとRIZINのルールの方が世界的には馴染みが無く慣れていない選手が多いです。そのためよくあるのは海外の別団体からRIZINにきた選手が日本人の選手と闘って「勝ったと思ったら負けていた」という話が度々あります。RIZINの運営は計量後のルール説明で毎回細かく説明しているようなんですが、それでも「なぜ自分が負けになるんだ」という抗議が上がることがあったりします。
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