アレッシャンドリ・パントージャ―壮絶な過去からUFC王者へ
アレッシャンドリ・パントージャは、ブラジル出身の総合格闘家で、現在UFCフライ級チャンピオンとして活躍しています。
彼のストーリーは、単なる成功物語ではありません。
幼少期の厳しい家庭環境、経済的な困難、そしてUber Eats配達員として働きながらもキャリアを築いた努力の結晶です。
この記事では、パントージャの壮絶な過去と、UFCチャンピオンとしての成功までの道のりを掘り下げます。
アレッシャンドリ・パントージャとは?
以下に、アレッシャンドリ・パントージャのプロフィールをまとめました
本名: アレッシャンドリ・パントージャ・パシドモ (Alexandre Pantoja Passidomo)
生年月日: 1990年4月16日(34歳)
出身地: ブラジル、リオデジャネイロ州リオデジャネイロ
通称: ザ・カニバル (The Cannibal、人喰い)
国籍: ブラジル
身長: 165 cm (5 ft 5 in)
体重: 57 kg (126 lb)
階級: フライ級
リーチ: 172 cm (68 in)
スタイル: ブラジリアン柔術
チーム: ブラック・ハウス → アメリカン・トップチーム
アレッシャンドリパントージャは現在、ATT(アメリカン・トップ・チーム)に所属しており、現RIZINフライ級王者の堀口恭司選手と同じチームです。
ですので彼は常に堀口選手と切磋琢磨しながら日々トレーニングしていることで知られています。
幼少期―父親の暴力と恐怖の中で育った日々
家庭環境の問題
アレッシャンドリパントージャの幼少期は決して恵まれたものではありませんでした。
彼の父親はアルコール依存症に苦しみ、家庭内で暴力を振るうことが頻繁にありました。
その後、父親は家族を捨てて蒸発。
一家を支える役目は母親に託され、彼女は一人でパントージャと兄弟たちを育て上げたそうです。
格闘技を始めたきっかけは「母を守るため」
そんな壮絶な環境の中、パントージャは母親を守りたいという強い思いから格闘技を始めました。
彼にとって格闘技は単なるスポーツではなく、家族のために戦う手段でもありました。
この時の経験が、彼のファイターとしての精神力を形成したと言えます。
「The Ultimate Fighter」通称TUF(タフ)への参戦
アレッシャンドリ・パントージャは、2016年8月に「The Ultimate Fighter」通称TUF(タフ)というイベントのシーズン24に参加しました。
彼はヘンリー・セフード率いるチーム・セフードに所属し、フライ級トーナメントに挑戦しました。
1回戦ではブランドン・モレノと対戦し、リアネイキドチョークで一本勝ちを収め、続く準々決勝ではカイ・カラ=フランスと対戦し、判定勝ちを収めました。
準決勝では日本のファンには馴染み深いRIZINファイター、扇久保博正選手と対戦し判定で敗れてしまいました。
知らない人も多いかもしれませんが、扇久保選手はこの時、パントージャと戦って勝利しているという過去があります。
このように、パントージャは「The Ultimate Fighter」TUF(タフ)での経験を通じて多くの試合をこなし、実力を証明して、その後UFCに参戦することになりました。
2017年:UFC参戦
以下が簡単なアレッシャンドリ・パントージャの2017年~2021年までのUFCでの戦歴になります。
- 2017年1月28日、UFC本戦初戦となる「UFC on FOX 23」でエリック・シェルトンを2-1の判定で下し、UFC初勝利。
- 2018年1月20日、「UFC 220」にてフライ級ランキング10位のダスティン・オーティスと対戦し、0-3の判定で敗北。
- 同年5月19日、「UFC Fight Night: Maia vs. Usman」ではフライ級ランキング7位のブランドン・モレノと対戦し、3-0の判定勝利。
- 2018年11月17日、「UFC Fight Night: Magny vs. Ponzinibbio」でフライ級ランキング14位の佐々木憂流迦と対戦し、1ラウンドでリアネイキドチョークによる一本勝ちを収める。
- 2019年4月13日、「UFC 236」ではフライ級ランキング4位のウィルソン・ヘイスを相手に、右ストレートでダウンを奪った後パウンドで1ラウンドTKO勝利を収める。
- 同年7月27日、「UFC 240」にて再びフライ級ランキング4位のデイブソン・フィゲイレードと対戦するが、0-3の判定負け。敗戦ながらもファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞。
- 2019年12月21日、「UFC Fight Night: Edgar vs. The Korean Zombie」でフライ級ランキング9位のマット・シュネルと対戦。右フックでダウンを奪い、そのままパウンドで1ラウンドKO勝利。ここではパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。
- 2020年7月19日、「UFC Fight Night: Figueiredo vs. Benavidez 2」でフライ級ランキング7位のアスカル・アスカロフと対戦するも、0-3の判定で敗北を喫する。
- 2021年2月6日、「UFC Fight Night: Overeem vs. Volkov」では元RIZINバンタム級王者マネル・ケイプに3-0の判定勝利を収める。
これを見て分かる通り、2017年からUFCに参戦したパントージャなのですが、2021年までは勝ったり負けたりを繰り返していて、なかなかタイトルマッチまでたどり着けずにいました。
ちなみにパントージャがタイトルマッチまでたどり着くまでに約6年ほどかかっています。
この期間、ずっと寡黙にパントージャは一戦一戦戦い続けてタイトルマッチまでたどり着いた苦労人でもありますが、UFCという団体はそれほど厳しい環境ということとも言えます。
このようなパントージャの苦労を知ると、朝倉海選手がUFCデビュー戦でいきなりタイトルマッチが組まれることがいかに異例なのかを知ることにもなりますし、このことをパントージャは心の中ではどのように思っているのかというのも気になりますね
経済的困難―Uber Eats配達員としての生活
2021年:経済的な苦境
2021年2月、この時期は世界中がコロナウィルスによって世界中が経済的にも大変な時期だったのもあって、試合で得られる報酬だけでは生活を維持できませんでした。
特にアメリカでの生活費は高額で、彼は家族を一時的にブラジルに戻さざるを得ませんでした。
Uber Eats(ウーバーイーツ)での配達業務
そしてマネル・ケイプ戦までの約8ヶ月間、家族を再びアメリカに呼び戻すため、パントージャはトレーニングをしながらUber Eats(ウーバーイーツ)の配達員としても働き始めました。
- トレーニングと仕事の両立
- 日中は厳しいトレーニング。
- 夜間や早朝にUber Eats(ウーバーイーツ)の配達を行うという過酷なスケジュールでした。
彼の生活はまさに挑戦の連続でしたが、この経験が彼の強靭な精神をさらに鍛え上げたことは間違いありません。
UFCでの成功―ブランドン・モレノとの戦い
ブランドン・モレノ戦
2023年、パントージャはUFC 290で当時のチャンピオン、ブランドン・モレノと対戦。
この試合でスプリット判定勝利を収め、UFCフライ級タイトルを獲得しました。
“母親がいなければ、今日の自分はありません。”
試合後のインタビューで、では自身の母親に感謝の言葉を話していました。
朝倉海とのタイトルマッチ
2024年12月、パントージャは元RIZINバンタム級チャンピオンの朝倉海と対戦。
2ラウンド目にリアネイキッドチョークで勝利し、3度目のタイトル防衛を果たしました。
この勝利で、彼の強さが本当の意味で改めて証明されました。
家族への深い愛情
父親へのメッセージ
パントージャは、UFC 290でのタイトル獲得後、試合後インタビューで自分の家族を捨てた父親へのメッセージを送りました。
“今の僕を誇りに思っているか?”
この言葉には、父親に捨てられた過去を乗り越えた彼の思いが込められてと思われます。
母親への感謝
また、母親への感謝の気持ちを何度も強調し、家族が彼の人生の原動力であることを明かしています。
家族への愛が生む強さ
パントージャはインタビューや周囲の選手との会話で、頻繁に家族愛について語ります。
彼は常に家族を第一に考え、家族のために戦うことが自分を強くする要因だと話しています。
例えば、彼はトラッシュトークをほとんど行いません。
これは、自分の家族、特に子供たちが自分をどう見るかを常に意識しているからです。
実際、朝倉海との試合前にも、相手の挑発に言い返すことなく「実力で見せつける」と冷静に対応しました。
このような振る舞いについて彼は、次のように述べています。
“自分の子供たちが胸を張って誇れる父親でありたい。”
彼にとって、家族に対する責任感と誇りは、アスリートとしての行動指針そのものです。
一方で、ファンの中には、トラッシュトークが試合を盛り上げる要素であると感じる人もいます。
しかしパントージャは、周囲の意見に流されることなく、自分が信じるチャンピオン像を貫き通しています。
パントージャの成功から学べること
パントージャの物語は、逆境を乗り越える力と家族への深い愛情がどれほど大きな力を生み出すかを教えてくれます。
彼の成功の鍵は以下のポイントに集約されます。
- 強靭な精神力:
幼少期の困難が、彼の忍耐力と決意を鍛えました。 - 家族への愛:
家族を守りたいという思いが、彼を突き動かしました。 - 努力と継続:
過酷な状況下でもトレーニングを続けた結果が、現在の成功につながりました。
まとめ
日本の格闘技ファンは今回の朝倉海選手とのタイトルマッチでこのパントージャという選手を初めて知ったという人も多くいると思います。
そして朝倉海選手のことを応援している人が殆どだと思いますので、パントージャがどのようにUFCチャンピオンまでたどり着いたのかを知らないという人も少なくないと思います。
ウーバーイーツで配達業をしていた時期もそんなに昔の話ではないことも驚く人も少なくないと思いますし、ファンの中には親近感を持ったり、自分も明日からもっと頑張ろうと気を引き締めるきっかけにもなるのではないでしょうか?
今回の機会にぜひパントージャの人柄やどのような選手なのかを知る機会にしてください。
アレッシャンドリ・パントージャのストーリーは、多くの人に勇気を与えるものです。
ぜひこの記事をシェアし、彼の物語を多くの人に伝えてください!
彼のように困難を乗り越えた経験を共有することで、多くの人が希望を見つけられるかもしれません。
参考リンク
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